『永遠花誉功』とは・
あらすじ
『永遠花誉功』
645年に、中大兄皇子(のちの天智天皇)が権勢をふるっていた蘇我入鹿を討った、いわゆる乙巳(いっし)の変(へん)は、大化の改新の始まりとなった事件です。
この歴史的大事件は幸若舞曲(こうわかぶきょく)の「入鹿」「大織冠(たいしょくかん)」を始め、歌舞伎、人形浄瑠璃の題材としても取り上げられました。なかでも近松半二の「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」は名作として繰り返し上演されています。
今回の『永遠花誉功』は、こうした入鹿退治を題材とした作品と、人気楽曲『初音ミクの消失』をもとにして、書き下ろされた作品です。
今年の見どころはここ
【見どころその一】悪人の蘇我入鹿と、正義の味方の金輪五郎今国との対決!
【見どころその二】ヒロインというべき、苧環姫の存在!
【見どころその三】デジタル演出のさらなる進化とパワーアップ!
もちろん、超歌舞伎ならではの参加型演出も。リアルでもネットでも楽しむことのできる超歌舞伎に、今年も乞うご期待ください。
あらすじ
時は天智天皇の御代。蘇我蝦夷子は、自ら帝の位にのぼろうと陰謀を企てていた。だが父親の陰謀を知った蘇我入鹿は、翻意するように促すが、これを聞き入れないために、入鹿は父を討ち、謀反人である蝦夷子の首を安倍行主に差し出す。
その上では入鹿は、父の菩提を弔うために出家すると申し出るが、実はこれは入鹿の策略。父親が帝の位にふさわしくないと考えていた入鹿は、父親の陰謀を利用し、自らが帝になろうと画策して、善人を装っていたのであった。そして行主を不意打ちにすると、その大望を明かし、不敵な笑いをみせるのであった。
一方、太宰少弐の下館では、太宰少弐の未亡人である定高の前で、桃の節句を寿ぐ舞を、定高の娘の苧環姫が披露している。ここへ入鹿からの上使として、金輪五郎今国が現れる。
金輪五郎は藤原鎌足の家臣であったが、鎌足を見限って、入鹿に主人を変えたことを明かした上で、入鹿が太宰家の息女苧環姫を妻にと所望していることを伝える。この命を断るのであれば、苧環姫の首を打って差し出すようにという無理難題に、定高は途方に暮れる。
その時、奥に控えていた苧環姫がやって来て、金輪五郎に自らの素性に関してのある秘密を明かす。これを聞いて驚く金輪五郎は……。
入鹿が三笠山に造営した新御殿では、入鹿の家臣の宮越玄蕃と荒巻弥藤次たちが控えるなか、入鹿の即位式が始まり、定高と苧環姫も参列するが、妻に望んだ苧環姫の真の姿を知った入鹿は激怒して、定高たちを処罰しようとする。ここに金輪五郎が藤原鎌足を討ち取り、その首を持参したといって駆けつける。喜ぶ入鹿の前で、金輪五郎が首桶を開けると……。