今昔饗宴千本桜
(はなくらべせんぼんざくら)とは・
あらすじ
2019年
幕張の地にあの作品が帰ってくる。
今年の超歌舞伎は、第22回 AMD Award '16大賞 総務大臣賞を始めとして、数々の栄誉に浴した、超歌舞伎の記念碑的な作品である『今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)』を、装いも新たにして上演します。
古典歌舞伎を代表する名作のひとつである「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」、そして初音ミクの代表曲で、いまや国民的な楽曲といっても過言ではない「千本桜」の、それぞれの世界観をもとにして生まれた、『今昔饗宴千本桜』。
〝桜がつなげるキセキ。〟と銘打たれた言葉のとおり、古典歌舞伎と現代のデジタル技術が融合したこの作品から、数々の奇跡、そして軌跡が生まれていきました。
また、いまや超歌舞伎の作品で欠くことのできない「あまたの人の言の葉を」という名台詞は、『今昔饗宴千本桜』で生まれた台詞で、その後の『花街詞合鏡(くるわことばあわせかがみ)』、『積思花顔競(つもるおもいはなのかおみせ)』へと受け継がれています。
2016年の公演と同様に、中村獅童さんが佐藤四郎兵衛忠信(さとうしろうびょうえただのぶ)、初音ミクさんが初音未來、美玖姫(みくひめ)、澤村國矢さんが青龍の精(せいりゅうのせい)をそれぞれ勤めるほか、中村蝶紫さんが美玖姫の母である初音の前(はつねのまえ)を演じます。
あらすじ
大正百年の帝都桜京。その象徴である千本桜を守護しながら活躍する、初音未來と靑音海斗(せいねかいと)。このふたりは過去に千本桜をとりまく神話に大きくかかわっていた。
時は神代の昔。いまを盛りと咲き誇る千本桜を、初音の前が眺めているところ、激しい風と共に、邪悪な青龍が出現する。そして千本桜を我が物にしようとする青龍に、初音の前は戦いを挑むものの力及ばず、娘の美玖姫に後を託して息絶える。そして千本桜は、青龍のために花をなくしてしまう。
それから千年後のこと。枯れ果てた千本桜の前で、美玖姫がひとり寂しく舞うところ、佐藤四郎兵衛忠信が現れる。この忠信こそ、千年前、美玖姫の母である初音の前と共に、千本桜を守護していた白狐(びゃっこ)が転生した姿。
美玖姫は忠信を怪しむものの、忠信は千年前に初音の前から賜った鼓を取り出し、自らが青龍の一味でないことを訴える。
やがて千年前のことを思い出した美玖姫と忠信は、青龍が襲来した様子や、初音の前が命を落とした様子を物語り、ともに涙にくれる。
そんなふたりの前に青龍の分身が現れて、忠信と美玖姫を取り囲む。これを蹴散らしていく忠信と美玖姫は、千本桜に再び花を咲かせようと、青龍との戦いに挑んでいく。
みどころ
過去3年の歩みを経て、毎年進化してきた超歌舞伎。今回の『今昔饗宴千本桜』は、改めて脚本、演出を見直し、作品のみどころもさらに増えました。
美玖姫があでやかに舞う場面では、鼓唄(つづみうた)を自ら唄って舞うという見せ場があります。
さらに忠信と美玖姫がふたりで踊る、軍物語(いくさものがたり)は、重厚な竹本(たけもと)と軽快な長唄(ながうた)の掛け合い(かけあい)により展開していきます。そして、2016年の公演でも話題を集めた、青龍と美玖姫のあの名場面も。
また、ご存じNTT社のイマーシブテレプレゼンス技術「Kirari !」を 使った演出に代表される、ICTを用いた見せ場の数々も大きなみどころとなっています。
今年は幕張の地にどんな桜が咲き誇るのか。乞うご期待下さい。